Column

コラム

2023.12.12

日本酒の作り方①原料米について

①原料米について

*酒米(酒造好適米)とは

酒米(酒造好適米…以下酒米)とは清酒専用品種として開発、栽培された原料米です。外観は大粒で中心部に白い潤みがあり(心白と呼ぶ)食用米とは外観から(大粒、心白)簡単に判別でき、酒造りに不要なタンパク質や脂質の含有量を極力抑え軟質米で麹が造りやすいなど酒造りに適した性質を備えた目的米です。
秋田県では1988年より酒米の開発に着手し複数の酒米品種を世に送り出し好評を得ています。2002年にはその集大成として「秋田酒こまち」が誕生しました。それから15年、2019年に新たなに二つの酒米が開発され「百田」、「一穂積」と名付けられ品種登録されています。

*今年度の気候

種まき、田植えから苗の活着まで時折冷え込みはあったものの、ほぼ順調に推移し又、大きな台風の来襲もなく倒伏で刈り取りに苦労することもなく収穫までこぎつけました。
刈り取りは通常7月下旬頃の出穂期からの積算温度で1000度を判断の目安として刈り取ります。しかし、今年の夏はこれまで経験のない猛暑が続き積算温度が1200度まで達するようなこともありました。この事が米質に「高温障害」となって表れ硬質、胴割粒の発生は避けられませんでした。
又7月中旬、県内を襲った記録的な大雨は秋田市を中心に県中央部の被害が甚大でした。当市、湯沢市は県南に位置し山形県と隣接しており河川の氾濫、浸水などなく栽培中の水管理について問題はありませんでした。

*収量

今年で自社田栽培も3年目を迎えました。猛暑の中、収量は水管理で低温に保つなど猛暑対策をこまめに行い平年作並みの収穫を確保できました。

*米質

酒米の特徴である大粒、心白粒は心白が中心部から流れ出現している米粒が多く見られ、千粒重は(玄米千粒の重さ)25,5g程度と例年より1~2g軽い小粒傾向でした。このことから吟醸酒、純米酒等の高級酒用原料米の精米には砕米発生防止に細心の注意を払い慎重に精米しました。

*精米

先にも述べましたように猛暑による影響で米質が硬く玄米の段階で既に胴割粒が散見され精米工程で砕米の発生が予想されました。対策として精米機の回転数、抵抗など細心の注意を払い丁寧に精米しましたがそれでも例年より砕米の発生率の高さは避けられませんでした。精米時間については特段の変化は見られませんでした。

*自社田栽培と新開発の酒米について

自社田は秋田県の東南に位置する湯沢市内にあり、ここからは「鳥海富士」と呼ばれる程名峰富士に似たシルエットが美しい「鳥海山」が裾野を広げる平野部にありあります。水源は奥羽山脈からの豊富な雪解け水が県南平野部を横断し秋田市で日本海に注ぐ雄物川(おものがわ)とその支流、皆瀬川に挟まれ、自社田脇には市内からの白子川が流れ豊かな水量と共に日照時間も長く稲作には理想的な雪国秋田の自然環境の中にあります。
爛漫では新開発の酒米二品種を自社田で社員が栽培、収穫し、それぞれの品種特性を引き出した新商品を開発しております。
酒米「百田」の商品は芳醇な旨みとふくよかさ備え、一方「一穂積」はさらりとした軽快な甘みの飲み口です。原料米の違いによる味わいや香りといった酒質特性を飲み比べでお楽しみいただけます。