Column

コラム

2025.03.27

【秋田の日本酒】大吟醸酒造り2025 其の4

~上槽(じょうそう)から出品まで~

目次

1. 上槽

2. オリ引き

3. 火入れ殺菌

4. 出品

大事に管理してきた大吟醸酒の上槽(搾り)が近づいてきました。これから先も出品まで一時も気をゆるめることはありません。今回は、大吟醸酒のフィナーレの上槽から出品までを詳しくお話しします。

1. 上槽

弊社の上槽の目標成分は、純米大吟醸酒は、アルコール16.2%、日本酒度-5、大吟醸酒はアルコール添加前でアルコール16.0%、日本酒度-6と設定しました。醪日数約28日でほぼ目標の成分になり、いよいよ上槽です。コンテスト用の大吟醸酒は特別に「袋吊り法」で無圧で搾ります。具体的には、さらしの袋に醪を入れて、小さなタンクに数十個吊り下げて、無圧で垂れてくる清酒を斗ビンでとります。醪を入れる袋の手入れも、袋クセがつかないように袋を何回も煮沸し十分に確認した後に使用します。

圧をかけないことで、また香りの飛散が最小限になることで、お米の繊細なうま味と酵母のフルーティな香りいっぱいの雑味のない綺麗な大吟醸酒ができてきます。

袋吊り

袋吊りから斗ビンへ

2. オリ引き(斗ビンから一升瓶へ)

※ 斗(と)ビン とは… 1斗=18ℓ(1升の10倍の単位)

袋吊り法で搾った清酒には、お米の溶け残りや酵母などを含んだ微細なオリが混ざっています。斗ビンの中でオリを沈ませ、清澄な部分だけを分離することを「オリ引き」といいます。 

弊社では、大吟醸酒の一仕込みから斗ビンを4本取り、酒質が変化しないように-8℃で3日間置きオリを沈降させます。サイホンを使いオリが入らないように、斗ビンから一升ビン約11本の清澄した清酒をとります。香りが飛散しないように、空気による酸化が進まないように注意しながら慎重に行います。

総米600kg(醪は約1700L)の仕込みからわずかに斗ビン4本(約80L)の貴重な大吟醸酒です。令和7年度のコンテスト用に大事に使っていきます。

斗ビンのオリ引き

斗ビンの貯蔵

3. 火入れ殺菌(ビン火入れ)

火入れの目的は、酵素の失活と微生物の殺菌です。火入れ前の生酒には、活性酵素とわずかな酵母菌などの微生物が存在しているため酒質の変化が早く、早く酵素の失活と微生物の殺菌をしなければいけません。

出品酒やこだわり商品では「ビン火入れ」を行います。具体的には、一升ビンに入っているお酒の品温を62℃以上にして酵素の失活と微生物の殺菌を行います。酒質面を考慮すると、温度を早く上げて、急冷するのが望ましいのですが、ビンの破損やビン内のお酒の温度が不均一にならないように温度計で確認しながら徐々に品温を上げていきます。大事なポイントは、加熱中のビンの中でも上下で約10℃の温度差があるので、攪拌して均一にしてから目標の品温になったかを確かめます。

火入れが終わったら、急冷をしますが、ぬるま湯→水→氷とビンが破損しないように慎重に段階的に冷やしていきます。

ビン殺菌

急冷

4. 出品

火入れ殺菌された一升ビンは、-8℃で貯蔵され、一年間のコンテストに合わせて出品されます。貯蔵中、時間の経過と共に搾りたてのキリットした酒質がゆっくりとまろやかな酒質になっていきます。

一年間の主なコンテストは、3月に秋田県清酒鑑評会と山形県新酒鑑評会、そして4月には全国新酒鑑評会の審査があります。また、秋の9月には秋田県清酒品評会と東北清酒鑑評会があります。

一升ビンのお酒をきき酒して、酒質を確認しながら出品する酒を決めていきます。出品酒は、通常500mlビンが多く、斗ビンから一升ビンへのオリ引きと同じように、一升ビンから500mlのビンにオリ引きをしながら分注し、期限に間に合うように発送します。

出品から審査の日までの熟成の進み具合などを想定し、審査での評価に不安と期待を持ちながら出品酒を送り出します。

一升瓶のオリ引き

きき酒

出品酒